孔子は次のようにも言いました。「もちろん、人徳者の発する言葉には、人を感動させる力があります。しかし、そのような人を感動させる言葉を持っていたとしても、必ずしも完璧な人徳者とは言えないかもしれないのです。同じように、仁の心を持つ人は勇気を持っているはずです。しかし、勇気があるからといって、必ずしも人の心が完璧であるかというと、そうとは限らないものです」
「大切なことは、言葉だけではないし、勇気だけでもない。思いやりの心があるかないか。自分が他人からしてほしくないことや、自分にとって嫌だと思うことは、他人にもしないこと。それが思いやりの心なのです。人徳者には、すべからく、この思いやりの心がそなわっています。相手の心情を自分の身に置き換えて、相手を思いやる気持ち。その気持ちがあるかないかが大事なのです。その気持ちを大切にすることで、徳は磨かれ、高まっていくのです」