エッセイ 詩 哲学 2022.05.21 【詩集】「其処には、戦争の様子が見えた。」 決心 下を向くと 闇の中に下界が、見えた。 夜である。 一軒の家 窓の明りが見てとれる。 一度は躊躇したが 意を決し 飛び込んだ!
小説 『春のピエタ』 【第18回】 村田 歩 私の妹は、5年前に殺された。高校二年生だった。自宅のすぐ傍で車の中に引きずり込まれて、河川敷まで連れて行かれ… 「早い時間ならお客さんはいないと思ってたのに、本当にすみません」「ああ、いいのよ。若旦那は特別なの。昼の三時には仕事終わっちゃう人だから。それにわたしのお客じゃないしね」意外に屈託のない話し方であたしに座るように促すと、自分も隣に座り、長い手を伸ばした。「ちょっと、あそこの神林さんのバランタインで一杯作って」バーテンの男性に命令する。こういうお店は経営者の次に偉いのはホステスさんなのだろうか。佳…
小説 『老楽』 【第6回】 遠藤 トク子 ハルは8人兄弟の長女、19歳だが、母親代わりとしてよく妹弟の面倒を見てきた。22歳になって、初めてお見合いをすることに… 【前回の記事を読む】自分には好きな人がちゃんといる、もうすぐ結婚する。息子が惚れていた女性教員が言った非情な言葉とは。 不思議だ。「駒子さん、花札やろうよ」男性二人からお誘いがかかる。「私、今日吉日だから、一人勝ちかもよ」「駒子さんの吉日はいつもあてにならないけどなあ。夕飯のデザート賭けようか」この部屋からは富士山がよく見える。まだ外は明るい、富士のシルエットが美しく見えるにはまだ数時間必要だ。…