【前回の記事を読む】「あなたは神様だったの?」打ち明けられる謎の少女の正体
第三章【判明】
自らを神であるかのような物言いをしておきながら、肝心なところではぐらかされたような感じになってしまった。そのなぞかけじみた言い回しからは、何かしら逸話があるような印象を受ける。
「それではあなたの正体は何者なのですか」
明日美は意外とせっかちだ、早く正体をしりたいのだが……。
「そろそろ佳津彦がきます。そうすればもうすぐわかるでしょう」
またはぐらかされてしまった。早速足音が聞こえてきたと同時に、なにやらガラガラと物がぶつかり合うような音が響いてきた。父がきたのだとしても、この特異な空間では油断はできない。万が一に備えて石筍を握って身構えて待つと、はたして父であった。
そうではあったが、何とも奇異な出で立ちで現れた父を見て、あっけにとられしばしの間明日美は見入ってしまうのだった。もとより意味不明の物を集めたりしている不思議な人とはいえ、今日は特に様相が違っていた。
長身ではあるが無駄に鍛えた見かけ倒しの体形に黒縁メガネ、その頭にはヘッドランプをつけ、何が入っているのであろうか満杯の背負子を担ぎ、その後ろには何に使うのかわからないが大きな照明用ライトと、付属品の折り畳み式の長い三脚スタンドが2組括り付けてある。腰にポーチをつけ、一方の肩にはツルハシを2本、もう一方の腕にはなぜか、コンビニの袋を3つもぶら下げて、ポケットがたくさん付いた上着とズボンには、はち切れんばかりにパンパンに物を入れている。
「明日美、大丈夫か、怪我はないか」