プロローグ

「これは何! どういうことぉ」明日美(あすみ)が気づいて絶句した。並べてある銅鏡すべてが、三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)なのだ……。

1700年の長い眠りから目覚めようとしていた古代女王の墳墓が、誰もが予想だにしなかった東北地方岩手県内陸部、未発見の鍾乳洞の奥深くに隠されていた。

社会科の教師である父、佳津彦(かつひこ)とともに、その墓の発掘作業にあたっていたのが、予知能力と高度の戦闘能力を秘めた考古学少女、天見明日美(あまみあすみ)である。それまで、父と同じ教師をしている母、時子(ときこ)と、愛猫レオとで平穏な暮らしをしていたのだが――。

ところがある日突然、魂の覚醒を果たした古代女王のサイコキネシスによって呼び寄せられ、子孫である自分たち一族に受け継がれた伝承を知ることとなる。それに伴い、現代の定説を覆す古代史の真相と、宿敵である魔王の存在が明らかとなり、その魔王の正体が解き明かされていく。

悠久の時を越えた因縁の宿敵、魔王の正体を知った明日美は、その宿命が故に、自分と同じ能力を持った従姉妹の明日香(あすか)とともに、女王の指揮の下、聖剣を手に戦士となって、魔王率いる魔物どもとの戦いに挑んでいくのであった。