【前回の記事を読む】山盛りの餌があるのに…ネズミがワナにかからない驚きの理由
3章 仕掛けとその効果
3 シーソー板を内蔵した1匹取りの仕掛け
動物に与えるための餌が入った袋がいくつも積み上げられている場所があって、ハツカネズミが袋をかじるとの事である。設置した翌日には捕まっているという連絡があった。わずかな力でシーソー板が回転し仕掛けがロックするので、ハツカネズミのような軽い個体まで捕まえることが出来た。ハツカネズミがシーソー板を乗り越えたことは間違いないので、シーソーの動きを全く気にしていないことがわかる。
大きい箱に小さいハツカネズミが1匹。同じ場所で翌日にも捕獲できたことから、仕掛けがロックする時に音がほとんどしないために危険性が全く認識されていないことが分かる。
ハツカネズミの捕獲を目的とした仕掛けではないので、次に、ドブネズミが出るというウサギ小屋でテストを行った。ネズミが捕まったという連絡を受けて見に行くとドブネズミが捕獲されて中で死んでいた。ものすごい腐臭で、持ち返ったあとの箱の洗浄には閉口した。
飼育員がウサギ小屋に入った時に、ドブネズミがあわてて捕獲具に入り捕獲できたので、ドブネズミがハツカネズミのようにシーソーの動きを気にしないかどうかは不明である。しかし、長いしっぽがあっても2段階ロックの仕組みがうまく機能していることが確認できた。つまり、しっぽが外に出ていても1回目のロックで外に出られなくなったことが確認できた。
その後、クマネズミが生息する、自宅近くのすし屋で設置し捕獲を試みた。この時、捕獲できなかったのに中のパンが全て食べられる事件が起きたのだ。食パン1枚を最も奥の位置に立てて置いていたのだが、入り口が開いたままで中のパンだけがきれいになくなっている。パンがあった場所にパンの屑は落ちていなかった。まさに事件である。
ハツカネズミのようにシーソー板を苦にせず、乗り越えて中のパンを食べたのであれば当然捕獲できるはずである。長いしっぽが外に出ていてもロックできる仕掛けで、ドブネズミは捕獲できているのにクマネズミでは捕獲できていない。
仕掛けを分解してみて驚いた。中の金属板の側面に足跡がいくつも残っていたのだ。このことから、クマネズミは足元が急に不安定になる事を極端に嫌うことが分かる。では、シーソー板を傾けないでアクロバットのように足を踏ん張って1枚のパンをきれいに食べたのだろうか?