【前回の記事を読む】アメリカでも特許を取得!ハツカネズミの習性を逆手に取った捕獲具
1章 ハツカネズミの前期捕獲とその観察結果
1 捕獲の詳細
3 捕獲具
前期の捕獲では、それまでにハツカネズミを捕獲したことのある複数匹捕獲の仕掛けを、餌付けのために使用する目的で3台用意した。そして、連続捕獲具を4台と1匹取りの仕掛け2台を用意して捕獲試験を始めた。さらに、前期と後期の捕獲期間を通じて捕獲具の改造を3回行っている。
捕獲具内が尿と糞で汚れるのを防ぐために捕獲エリアに画用紙で囲いを作った際、4月3日に体重11.0gの個体が囲い上部に直径15mmの穴を開けていたのを確認した。入口の高さが不足していると判断して仕掛けの入口の高さを20mmから30mmに改造することにして、5月13日からは入口の高さが30mmの捕獲具を使用した。
クマネズミの仕掛けの入り口の高さが3.5cmなので、ハツカネズミなら2cmもあれば十分だと思っていたのだが、違っていた。2回目の改造は、誘因効果を上げるために入口上部にパンの小部屋を設けることとし、改造を行って、前期(6/27)の物置小屋の設置から使用し、後期はすべて改造した捕獲具を使用した。
ネズミの回収時に、入口のシーソー板が上に上がってロック状態になり、続けて他のネズミが入れない状態になった捕獲具が時々あった。それを解決するために、捕獲されて中にいるネズミが入口のロック状態を解除できるように改造を加え、後期捕獲からはそれを使用した。
4 設置方法
餌には食パンを使用し、捕獲具の中に1枚を入れ、入口周辺には誘引するためと周辺にネズミがいるかどうかを判定するために小さく切ったパンの小片を2~3個置いた。前期は3~4日に1回の点検を行い、ネズミの回収とパンの交換を行った。後期は毎日点検を行い、ネズミの回収と必要に応じてパンの交換を行った。後期には捕獲できない状態が数日続いたので、2度餌付けをして捕獲を行った。
5 解析方法
4月6日以降に捕獲された個体をすべて冷凍保存し、東京にある研究施設に送付して、各個体の頭胴長、尾長、後足長、体重、成熟状態を調査頂いた。雌個体については胎児の個体数と出産経験の有無を合わせて報告して頂いた。
6 結果
1つの連続捕獲具に最高7頭のハツカネズミを捕獲することができた。前期の捕獲当初に使用していた入り口の高さが20mmの捕獲具を使用した場合、餌付けに15日かかったのだが、入口の高さが30mmの捕獲具を使用した5月13日からは餌付けを行わないでも捕獲することができた。捕獲最軽量個体の体重は2.9gであった。総捕獲数160頭(雄76頭、雌84頭)の頭胴長と体重の平均は75.73mm、12.54g で、雄と雌の頭胴長と体重の平均はそれぞれ、雄73.82mm、11.6g、雌77.45mm、13.39g となった。