服装にはご注意

これは二〇〇一年十月、私が同僚二人(A)(B)と中米のグアテマラへ赴任した際に経験したことです。

日本からグアテマラへ行くにはニューヨーク経由(一泊)のルートが一般的でした。われわれ三人もそのルートを選択し、何事もなく日本を離れて機中の人となり、そして無事にニューヨークへ着陸しました。

その後入国審査を受けたのですが、かなり混み合っていたため、手荷物検査は三人バラバラになりました。そのときのわれわれの服装はといいますと、私は白地のワイシャツに紺のブレザーにグレーのズボン、ネクタイに黒の革靴、そしてパソコンを入れたかなり使い込んだパイロット・ケースと、どこから見てもビジネスマンのスタイル、(A)はほぼ私と同じスタイルながら、ノーネクタイ、もう一人の(B)はTシャツにジーパンとスニーカー、そしてパソコンを入れたケースといういでたちでした。

この三人が入国時手荷物検査で受けた待遇にはまさに驚くべき差がありました。

私の場合、手荷物検査でケースのふたを開けて並んで順番を待っていたところ、パスポートを見ただけでケースの中身を見ることなく私の顔を見て早く行けとのこと、「サンキュー」で通過しました。(B)の場合は一応ケースの中身をチェックされましたが、「サンキュー」で無事通過しました。そして私と(A)は合流し三人一緒に行動するべく(B)を待つことにしました。

しかし、なかなか(B)は姿を見せず、一時間以上待ったところにようやく現れたのでどうしたのか聞いたところ、彼はスニーカーから靴下まですべてぬがされ、徹底した身体検査に加え、パソコンはレントゲン検査をされ、身に着けていたスーツ・ケースなどの鍵を束ねたチェーンまで外されたあげく、チェーンは没収されたとのことでした。