第一章 新グローバルスタンダード「文化」考
多文化共生と棲み分け
神栖市国際交流協会(KIFA)の総会で、ある会員から外国人による日本語文集『かけはし』の編集についての意見が出された。
編集会議に参加してみたら波崎の人のみで、神栖の人が一人もいなかったのでビックリして、「良い文集を作っているのにどうして神栖から参加しないのか」という素朴な疑問が出された。
この件は微妙なところもあり、これまで会議で公式に議論されることはなかったものである。KIFAは神栖町と波崎町の合併によって新たな団体として再スタートしたものであるから、合併に伴うそれぞれの町の異文化をいかに統合するかは慎重を要する問題である。
『かけはし』は波崎町由来のものだったので、波崎の「外国人のための日本語教室」の講師だけで受講生を指導して作成されている文集であった。波崎の先生方は素晴らしい文集を作っているという自負があるので、「全体事業にすべきだ」という主張がなされ、一応そのように位置づけられた。
神栖の先生方は実質的には現状維持の運営がなされるだろうという暗黙の前提で反対はしなかったというのが実情のように思われる。私はKIFA会長としての巻頭言を依頼されるので、原稿の段階で隅から隅まで読んで巻頭言を書くことになる。色々な国の人々の文章を読むことは異文化の勉強にもなり、『かけはし』は個人的には良いものだと思う。