【前回の記事を読む】試合前の「ハカ」にニヤリ…イングランドラグビーの圧倒的自信

ラグビーW杯2019:無残な結果から蘇ったイングランドの快挙に反転攻勢の鍵を見る

まず、産業政策である。MIT(マサチューセッツ工科大学)などを中心に、日本など産業政策が成功して貿易黒字を達成している国々を徹底的に研究し、対策を練った。

その結果が、例えばハーバード大学のエズラ・ボーゲル教授がまとめた『Japan as No.1(ジャパン・アズ・ナンバーワン)』などの報告書により産業界に共有された。こうして産業界全体の生産性を高め、反転攻勢に出たのである。

一方、金融財政政策では、アメリカのボルカーFRB議長と日本の澄田日銀総裁の間での交渉を踏まえて1985年に主要先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁会議を開き、各国中央銀行による為替市場への協調介入について、合意にこぎつけた。このプラザ合意により、主要先進5カ国の通貨価値を現実的な水準に転換させることに成功した。

この結果、1ドル=235円前後で推移していた円は、1ドル=150円前後まで大幅な円高が進み、その結果、日本の輸出産業は急速に競争力を失っていったのである。

皆さん、無残な現実を直視しましょう。そして危機意識を仲間と共有しましょう。その上で前例に囚われずに最善の解決策を探るのです。解決策が見つかったら大胆に実行しましょう。解決策を全てのStakeholder(関係者)に周知徹底し一丸となって邁進します。指導者のなすべきことは、根拠のない精神論を振りかざすのではありません。深い洞察と緻密な戦略で練り上げた成功への道筋を明確に示し続けることです。

私は、そういう指導者の方々を招聘し、彼らが存分に腕を振るえる環境を用意するという、社会変革の仕掛人を目指します。