その恐ろしい体験は、僕の小さな少年時代の事でもあり強く記憶に焼き付けられて、大人になった今でも時々その大きな鉄橋と電車が迫って来る様子が僕の夢の中に現れてきて、僕は夢の中で焦ることもある。
だが、それでも僕はその時電車に轢かれなかったので良かった。しばらくすると今度は、本当に同じ小学校の女の子が列車に轢かれてしまう事故が起きてしまったのだ。それは、見沼田んぼの私鉄東武野田線ではなく、小学校にも近く、見沼田んぼからも近い旧国鉄の東北線の線路上で。
その経緯については、やはり子供だから、線路近くで遊んでいて轢かれたらしいが……。それで小学校全校児童のうち何人かが、その女の子のお葬式に参列した。僕は学級委員だったからか？
もう忘れてしまってはいるが、お焼香のために、参列している人々の列から少し前に出て行って、その少女の写真がある少し高くなっている台の上に乗り、頭をたれ、お祈りをしてきたのである。そんな記憶も僕には有る。だから、線路近くでは大人と一緒に遊ばなければいけないのだ！
その後、僕は引っ越してしまい、よく遊んでいたその大きな鉄橋辺りの夕日の奇麗な景色の所には行けなくなってしまったが、それでも時々あの時の鉄橋上での危なかった事が夢にも出てくるので気にもしていた。
しかし、あるとき思い立って僕は、元の自宅付近から、小学校、中学校、そして、見沼田んぼの例の鉄橋辺りの景色を懐かしく思い、一人で行ってみると……。
巨大にも見えた思い出の鉄橋は、比較的小さなもので、幼かった僕の体格目線からしてみると、その鉄橋が巨大で大きくも見えたのだ、ということが分かったのである。
その後からは、その鉄橋での事が夢に現れてきても、僕は焦りまくる事は無くなった。
