ふにゃふにゃした生き物は苦手、赤ん坊など大嫌い
そもそも子どもや赤ん坊という生き物が苦手、というより嫌悪している毒親もいる。
「あたしはもともと子どもや赤ん坊ってのは好きではありませんでした。ですから娘が生まれたときに看護師さんから可愛い女の子の赤ちゃんですよとか言われて赤ん坊の顔を見せられたとき、思わず悲鳴を上げそうになりました。嬉し泣きをしているふりをしてごまかしましたよ。あんな醜い生き物が自分のおなかに入っていたなんて……、今もぞっとします」
赤ん坊が気持ち悪かった、という感想は時々聞く。顔がくしゃくしゃだったとか、おさるさんみたいだった、言われているほど可愛くなかった、という本音もよく聞く。お産が大変で、可愛いとか可愛くないどころではなかったという人もいる。しかし悲鳴を上げそうになるくらい赤ん坊を嫌う人は珍しい。
「これが男の子だったらまた違ったかもしれないと何度も思いました。よその男の子は、可愛いとか、かっこいいと思ったことはあるんです。男の子は赤ん坊にしたってしっかりというかがっちりというか、少々のことでは壊れそうにないですよねえ。何でこう女というか、女の子ってのは、大きくなっても可愛ぶったりめそめそしたりするんでしょうね……」
男の子が生まれたなら生まれたで、溺愛するかしてやはり毒親になっていたのではないか。子どもに対する見方というのが、ペットか玩具に対するもののように聞こえる。
「あたしは男兄弟ばかりで育ちましたが、女の子は手がかかるってずいぶん親に言われたものです。男の子はひっぱたこうがどつこうが放っておこうが育つが、女の子は手を上げれば泣く、ほうっておけば泣く、きれいな服が欲しいと言って泣く、本当に面倒だ、と言われていたので、親の作るものはおいしいおいしいと食べ、買ってくれるものには文句ひとつ言わず、それはもう素直に育ったんです。ですがこの子を見た瞬間ピンと来たんですよ、この子はあたしがしてやることにいちいち逆らうなって」
「案の定、何をしてやっても素直に喜ばない」
この人が言う素直に喜ぶというのはどういうことなのだろう。どのような反応をしたとしても、女の子だからとケチをつけて、気に入ることなどなかったのではないか。