ルーブリック作成のコツ
ルーブリックの文字通りの意味は、「色を付けるための赤土」「赤チョーク」といった赤を連想させるものである(教員が採点に赤ペンを用いることもその名残りかもしれない)。ダネル=スティーブンスとアントニア=レヴィ(佐藤浩章ほか)※2の言葉を借りれば、教育現場におけるルーブリックとは「ある課題について、できるようになってもらいたい特定の事柄を配置するための道具」(スティーブンス・レヴィ、p.3、佐藤ほか、p.2)である。
とはいえ、いざルーブリックを作成するとなると、どこから手をつけたらいいのか見当もつかないだろう。そこで、スティーブンス・レヴィ(佐藤ほか)および西岡加名恵と田中耕治※3をもとに、その作成手続きをまとめてみた(図表1)※4。
なお、ルーブリック作成にあたっては、大学において作成・公開が義務づけられているシラバス(授業概要や成績評価基準などを示したもの)と連動させておくことが重要である。なぜなら、シラバスの内容とルーブリックの内容がずれていたら、両者の妥当性・信頼性・説得性が失われてしまうからである。そこで、以下では図表2の(本学で使用される)シラバスのサンプルも参照しながら、図表1左側の作成手順について見てみよう。
※2:Stevens, D. D. and A. J. Levi, “Introduction to RUBRICS( 2nd Ed.)” Stylus Publishing, 2013.(佐藤浩章(監訳)『大学教員のためのルーブリック評価入門』玉川大学出版会、2014 年)
※3:西岡加名恵・田中耕治(編著)『「活用する力」を育てる授業と評価 パフォーマンス課題とルーブリックの提案』学事出版、2009年。
※4:西岡・田中、同上書では中学校におけるルーブリック評価およびその実践を中心に述べているが、高校の教育現場においても有用であろう。事実、2014年度よりSGHの指定を受けた高校において、成績評価にルーブリックを用いることが要請されている。