水と安全はタダ?

小雨の中、原っぱでサッカーをしていた。雨脚(あまあし)が強くなってきたので退散(たいさん)(どろ)だらけのボールを車に入れたくないが、水道も見当たらないので、仕方なく持っていたミネラルウオーターで(どろ)を洗い流していた。

子「えっ、ミネラルウォーターで!?」

父「なによ、もったいないって?」

子「(おこ)られるぞー」

父「(だれ)にだよ(笑)しょうがないじゃん。水道があったとしても、それだってタダじゃないし」

子「タダじゃん」

父「その場で(はら)わなくていいだけで、税金(ぜいきん)で引いている水道なんだからさ」

子「家でも、出しっぱなしにしてたら(おこ)られるね」

父「でもタダに見えるよね。昔、日本人は水と安全をタダだと思っているって書いた本があった。それくらい、あるのが当たり前の存在(そんざい)になっちゃってる」

子「警察(けいさつ)自衛隊(じえいたい)にも、お給料(きゅうりょう)(はら)ってるってことか」

父「まだまだ足りないくらいだしね」

子「あ、さすがに空気はタダ?」

父「『きれいな』空気はタダじゃないね」

子「税金(ぜいきん)できれいにしてるの?」

父「車や工場から出る(けむり)も、なるべくきれいして出すためにお金が()かってるし、木を植えるにもお金()かるしね」

子「じゃあ、タダのものってこの世にないのかな」

父「ないかもね」

子「みんな忘れちゃうから、値札(ねふだ)()ったらいいよ」

父「警官に()(ふだ)()るわけにはいかないけど、そういう考え方は大切だね」

お父さんのひとりごと

水と安全。タダに思えてしまうくらい当たり前の存在になっているとは、なんて(めぐ)まれた国なのだろうと再認識(さいにんしき)しました。

タダに見えてタダではない。(だれ)かが人知れずそう見えるような努力を続けている。

そんな視点(してん)で、お子さんと「タダのもの(さが)しゲーム」などはいかがでしょうか(笑)。