警察(けいさつ)自衛隊(じえいたい)を守る

陸上自衛隊(じえいたい)観閲式(かんえつしき)に行った時のこと。(はな)れた駐車場(ちゅうしゃじょう)から会場である朝霞駐屯地(あさかちゅうとんち)へ歩いていた。

子「お(まわ)りさんがあちこちに立ってるね」

父「基地(きち)駐屯地(ちゅうとんち))が近付いてきたからね」

子「何してるの?」

父「警備(けいび)でしょ」

子「え、自衛隊(じえいたい)警察(けいさつ)より強いんでしょ? 自分で守ればいいじゃん」

父「うーん、基地(きち)の外は普通(ふつう)の町なので、そこを守るのは警察(けいさつ)の役目なんだよ。治安と防衛(ぼうえい)という役割分担(やくわりぶんたん)が……」

子「あ、この建物には多めにいるね」

父「なんだろう……あ、隊員の宿舎(しゅくしゃ)だ」

子「何で多めに守ってるんだろう」

父「侵入者(しんにゅうしゃ)がいるかも知れないし」

子「(てき)?」

父「いや、いたずらとか……自衛隊(じえいたい)を良く思わない人もいるからね」

子「みんなを守ってくれてるのに!?」

父「軍隊は必要ないって人も少なくないんだよ」

子「(てき)が来たら?」

父「来ないように普段(ふだん)から話し合って仲良くしておけばいいと」

子「ニュースで、センカク? いま来てるよね。話し合ってないってことなのかな」

父「話し合いが足りないのかもね。でも、尖閣諸島(せんかくしょとう)をよこせって言っているわけだから、あげちゃうとか、すごい大金払うとかしないと解決しないよね」

子「軍隊が大勢(おおぜい)で取りに来たら、自衛隊(じえいたい)が守ってくれるんだよね」

父「うん、米軍も協力してくれるはず」

子「勝てるの?」

父「自衛隊(じえいたい)は世界でもトップクラスの実力があると言われている」

子「でも軍隊じゃないって言ってたね」

父「看板(かんばん)自衛隊(じえいたい)で、軍隊ではありませんって書いてあるけど、外国から見たら完全に軍隊」

子「看板(かんばん)に軍隊って書いたらダメなの」

父「憲法(けんぽう)に軍隊を持たない、戦争はしないって書いてあるから」

子「それじゃー攻められても守れないじゃん」

父「いや防衛(ぼうえい)の為なら戦っていいんだって」

子「なんかさ、ずるくない?」

父「ずるいよね。そこを()っ込こまれると大人は子どもに勝てない」

子「日曜日にさ、ラジオで子ども電話相談やってるよね。僕、勝てるんじゃない?」

父「あれは勝負じゃないでしょ」

子「とりあえずお父さんには勝ったよね」

父「うん、負けた。おまえがお父さんになった時には、勝てるようにしておかないとね」

子「どうすればいいの」

父「みんながこうやって、自分の国は自分で守りましょう、子どもも納得(なっとく)する憲法(けんぽう)にしましょうって、子どもの(ころ)から考えておけば変わるはず」

子「急がないとね」

父「今もね。まずい、始まっちゃう。走れ!」

お父さんのひとりごと

憲法(けんぽう)自衛隊(じえいたい)は、素直(すなお)に読めば両立出来ません。安倍元首相は、自衛隊(じえいたい)存在(そんざい)憲法(けんぽう)に加えようとしましたが、(かな)わぬまま辞任(じにん)されました。いつまで息子にも説明出来ない状況(じょうきょう)を続けていくのでしょうか。

みんなで話し合い、みんなが自衛隊(じえいたい)廃止(はいし)しようと言うならそれもいいでしょう。国家の顔である憲法(けんぽう)堂々(どうどう)と説明出来ない状況(じょうきょう)の方が、子ども達に、いや世界に対しても()ずかしいことではないでしょうか。