以下に、筆者らがカドミウムを対象に一二三種類の雑草を用いて行ったファイトレメディエーション研究の概要を説明します。まず、どんな雑草がカドミウムに強くて、どんな雑草が弱いのかを調べました。その結果、表2に示すように、カドミウムに対する雑草の感受性は科によって異なり、イネ科雑草が非感受的であるのに対して、マメ科雑草が感受的であることが分かりました。
カドミウムに強いイネ科雑草は土壌修復に利用できますし、カドミウムに弱いマメ科雑草も検出植物として利用できます。具体的には、カドミウム汚染地にマメ科雑草の種子を播種するかあるいはマメ科雑草の種子を含む表土を撒きます。
マメ科雑草はカドミウムに敏感ですから、発芽すればその場所のカドミウム濃度が低いことになり、逆に発芽しなければ土中に高濃度のカドミウムが残留していることになります。
土中のカドミウム濃度は化学分析で調べることもできますが、土壌汚染が広範囲に及ぶ場合は、カドミウム濃度が汚染地全域で必ずしも均一ではないことから、多地点から土壌サンプルを採集する必要があり、分析コストが高くなります。
これに比べて、雑草を用いたファイトレメディエーションでは雑草種子を播種するか雑草種子を含む表土を撒くだけですから、低コストでしかも長期の経過観察が可能になり、土壌汚染の修復経過を視覚化できるというメリットもあります。