監督者になったきっかけ
私のいた会社は工場が数多くあり、約600人ほどのメンバーが働いています。工場は原材料を購入し、製品を作るための部分的な材料を作り、組み立てていくためにいくつかの工程があり流れ作業となっています。
その材料を運搬する人や製品を検査する人など職種もさまざまです。深夜勤務もあります。また夏場は機械の温度が高く暑い工程もあります。逆に外での作業のため冬場は非常に寒い工程など極端です。
私が監督者と呼ばれる役職に就いたのは、34歳のときです。入社したての頃の私は監督者になろうとは一切考えていませんでした。そんな私が監督者試験を受けたきっかけは、ある日の出来事が原因でした。
材料の異常が発生し不良品が出ていました。ある監督者が上司から本当にそのメンバーから報告がなかったのですか、という質問をされていました。そのときにその監督者は上司に「報告はありませんでした」と答えていました。
私はそれを聞いて、そんなはずはないと思い、現場へ下りてそのメンバー本人へ聞き込みに行きました。トラブルが出ているけどなんで報告しなかったと聞くと、「えっ、接着が悪いのでどうしたらいいですかと監督者へ連絡したよ。そうしたらそのくらいならいいと確認もしないでOKの返答がありましたよ」と言いました。
結局監督者が上司から叱られるのでウソをついていたのです。そしてその上司も監督者から聞いたことを信じて、メンバーへの確認もしていません。こんな上司や監督者がいる工場で仕事をしていたら、メンバーは一生懸命やっても浮かばれないな、これは絶対監督者にならないと馬鹿らしい、と思って監督者試験を受けました。これが監督者を目指したひとつのきっかけです。
監督者になったら、どうしたらきちんと報告し、また聞いていないというウソがつきにくくするにはどうしたらよいかの対策を考えました。監督者自身がメンバーから報告を聞いていても忘れたり、自分の判断で問題ないと思って行動しないことがあります。また問題が表面化した際に上司から叱られるので正直に罪を認めない監督者もいます。
メンバーの身を守るためにはどうすればよいか。私が思いついたのは二人で報告するということでした。現場から上司へ口頭で報告するときに大事なことは一人では報告しないことです。必ず仲の良いメンバーと2名以上で報告することが大事なのです。
なぜなら報告したことを証明できるからです。一人だけでは、聞いていないと言われたら証明できず水掛け論になります。そうならないように、重要な報告するときは証人を付けることが大事です。私はメンバー全員へそう指導しました。
また、報告漏れがないように、疑問に思ったことは何でも連絡するようにも伝えました。こういっても個人間で捉え方が違うので、トラブルが出ないように、規格や不良が発生するメカニズムを4Mで何度も教育し不良品が出ないようにしました。
また、品質以外でも、些細なことでも何でもよいので連絡するようにメンバーへ頼みました。