前々から準備して取得したはずが…突如取り消された年次休暇

さて、私のこの努力は報われたかのように思われました。3月XX日の前日の夕方には、私は翌日の用事を、ある一件を除いて、完全に済ませていました。

その一件というのは、ある機械メーカーに設備を発注していたのですが、その機械メーカーで発注設備の仕様を決めてもらい、その日のうちに、その内容を外注しているエンジニアリング会社に私がFAXで送るというものでした。工程が差し迫っていましたので、その設備の仕様は、3月XX日の前日までに、どうしてもエンジニアリング会社へ送らねばなりませんでした。

その機械メーカーからは、XX日の前日の昼に「いま、社内で検討しているので、いくら遅くなっても今日中に必ず連絡する」との電話が入っており、私はそれをエンジニアリング会社にも伝えていました。しかし、夜になっても、機械メーカーからなかなか連絡が来ません。20時ごろになって、やっと電話があったのですが、それは次のようなものでした。

「永嶋さん。いま、設備の仕様を社内で会議を開いて協議しているのだが、意見が真っ二つに分かれて結論がでていない。今日中に連絡しなければならないのは我々もわかっているのだが、明日の朝一番に連絡することにしてもらえないだろうか。今日、徹夜して仕様をまとめるので、なんとか了解してもらえないだろうか？」

そういう事情ならやむを得ません。私は、機械メーカーに「承知しました。明日の朝、連絡をお待ちしています。よろしくお願いします」と答え、一方のエンジニアリング会社にもその旨を連絡しました。また、上司のA班長や職場の人たちにも事情を伝え、明日は朝から休む予定だったが、その一件を片付けるために、朝だけ少し出勤することになったと話をして、その日は残りの仕事を済ませて帰宅しました。

さて、3月XX日です。私が、定時前に出勤すると、少しして約束通り、機械メーカーから設備の仕様の連絡がありました。私はその内容を確認し、エンジニアリング会社にFAXで連絡しました。そして、A班長や職場の人たちに「これから予定どおり、年次休暇を取ります」と伝えて、工場を出て、警察の交通課に書類を持っていったのです。