(3)P/L販管費と、CF出の「/減価償却費を除く額」について

研究生:減価償却費は、キャッシュアウトしない「費用」ですよね。

教 授:そうです。P/Lに計上した費目では、キャッシュは把握しきれません。PBC表に連動入力されるP/Lの「販管費」は棒グラフの左側に表示。棒グラフ右側に表示する「/除償却」は、販管費(等)から「減価償却費」を除いた額です。減価償却費は「非現金支出費用」なので、棒グラフ右側・CF出のグラフでは除いて表示します。

研究生:なるほど、左側の棒グラフと右側の棒グラフの関係性が分かりました。

教 授:ところで、このテスト数値の会社では、B/Sの「資産の部」に「繰延資産」があり、前期に比べて直近期は増加しています。この点、例えば「開発費」の新規計上があった場合を想像すると、その金額がもともとは「販管費」で、単年度計上するとP/Lは赤字だったのかも……など、B/S科目との兼ね合いがあるのです。PBCグラフでは、この「よく見えない」キャッシュ移動を「B/S内移動」という項目で可視化するのですが、この点は後述します。

(4)借入金の動きを見てみましょう。

研究生:棒グラフの「借入調達」「借入返済」について説明して下さい。

教授:借入金はB/Sには残高しか表示されませんが、キャッシュの状況を見るためにとても重要な項目です。状況を確認するためには、年間の借入「入金額・返済額」を総勘定元帳などから抽出して、当期中の総額を把握する必要があります。わざわざ抽出する目的は、売上の規模に対して、借入金の規模がどうなっているか、返済財源不足を補うために、新たな借入をしていないかどうか等を見るためです。

・このテスト数値の会社では、前期、直近期とも、「借入調達」よりも「借入返済」の額が少なく、返済する財源がないので、返済するために新たな借入が発生した、と見ることもできます。借入残高の増加をB/Sで確認します。

・借入調達と借入返済が「かなりの額」で同時に発生していることは、短期資金であれば「反復利用が多い」、長期資金であれば「毎月の返済に追われてキャッシュ不足が発生し、新たな借入が発生している」などの状況が推測できます。B/Sの借入残高推移もよく確認しましょう。