このグラフは、真ん中のP/L「売上・他利益」を中心にして、その周囲でどのような収支が構成されているのかを可視化しています。「手入力」が必要な理由は、財務三表(結果の表示)では補いきれない「経過」の数値を手入力することで、今まで「見えていなかった」経営状態を可視化するためです。

全体の左側、赤枠内P/L部分は、P/Lをそのままグラフで表示し、上部と右側にキャッシュ移動を補正した科目を表示して「対比」することで、経営の内訳が理解できます。

それでは、入力項目の「超簡単バージョン」で、テストの数値を入力して結果を解説してみましょう。

解説は、大学でPBCグラフを教える「教授」に対して、「研究生」が質問をするという設定で説明します。

【解説】

研究生:教授、この会社の3期決算、売上が2期連続で増加しているので、順調に伸びている会社と理解して良いでしょうか? 

教 授:P/Lの「売上」が伸びていても、「利益」や「キャッシュ」の状況も把握しないと、「順調」かどうかは分かりません。今日は、その分析のためにPBCグラフにして検討してみましょう。

(1)P/Lの黒字、赤字

研究生:棒グラフを見るときのポイントは何ですか? 

教 授:棒グラフでは、金額(量)が「高さ」になります。

・前期(赤字)は、PBCグラフでは、真ん中の「売上・他利益」よりも、左側の「他費用・損失」までの棒グラフの「高さ」が高い=「収入よりも支出が多い」。つまり赤字、という形でグラフを読み取ります。

・直近期は、真ん中の「売上・他利益」の方が、左側の「他費用・損失」よりも、わずかに高いので、この期は、わずかに黒字です。

※P/L損益計算書に入力した数値と合っているか確認しましょう。

研究生:P/Lの棒グラフの「右側」や「上側」にも棒グラフが表示されている意味は何ですか? 

教 授:キャッシュの動きを把握するために、P/L(一年間の収支)では把握しきれないB/S項目とCF(キャッシュ)の動きを可視化しているのです。例えば、P/Lの「売上原価」と当期の「仕入払額」は一致しない、ということを確認したいわけです。