行政への対応で、子どもと触れ合う時間が足りない
保育園の職員として、週に一、二回は書類提出のために市役所へ出向きますが、担当課の職員数がこの一〇年ほどの間に三、四倍にもなっていると感じます。
現場には、市の担当課を経ないで、厚生労働省‐内閣府(平成二七年度から始まった新制度を統括している)、府の子育て支援課、法人指導課、全国経営者協議会(経営協)、そして各保育団体からの文書、研修会・講習会の案内、アンケート調査が送られてきます。
このアンケート調査だけでも年間で集計すると相当の事務量になります。
保育園には、保育団体、大学などの研究機関をはじめ実にいろいろなところからアンケート調査が送られてきます。
ホームページ作成、電話機、パソコンセキュリティー、コピー機、人材派遣関連、その他いろいろな営業のダイレクトメールが送られてきたり電話がかかってきます。
平成一一年版保育指針によって、地域社会の次世代育成も保育園に課せられたのがきっかけとなって、保育園には多くのことが課せられるようになりました。
それに付随したいろいろなこと、たとえば子育て相談、園庭開放、延長保育、障がい児保育、地域貢献事業等々の研修、講習、事例発表などを受けたり参加したりしなければなりません。
クラス担任の保育士にも研修などが割り当てられますが、その多くのことはクラス担任をしていない主任保育士や園長が対応しなければなりません。
次から次へと、審議会や有識者会議などから新しいアイデアが出され、プロジェクトチームの人によって企画されるとともに、多くの文書が作成されて現場に降ろされてきます。
それらの文書を読むだけでも多くのエネルギーを使わねばならないのです。
役所言葉が使われた、理解がむずかしい文章を読まなければなりません。
日常業務にまじめに取り組んでいると、研修にも充分に参加できないことから罪悪感を抱くとともに、保育士、園長として自信を失う状態に追い込まれてしまいます。