【関連記事】「病院に行って!」背中の激痛と大量の汗…驚愕の診断結果は

溢れんばかりの愛と細やかな気遣い

久しぶりに、DREAMS COME TRUEの古いCD、『The Swinging Star』を聴いた。そして、静かに涙した。吉田美和に敬意を表しつつ……。

私は、このCDを聴くときは必ず涙する。特に、1曲目の、『あの夏の花火』のイントロが始まると、もうだめだ。1992年にリリースされたCDだが、後ほど発売された2枚組のベスト盤よりソリッドで、かつドリカムのすべての要素の萌芽がギッシリ詰まっている。

作詞は全て吉田美和が担当しているから全ての曲は、直接・間接の差はあれ、彼女の実体験と、それを自分なりに咀嚼した内容を、曲に昇華させたものだろう。

それにしても、吉田美和は、実に愛に溢れた女性だと、つくづく思う。愛に身を焦がして焼け死ぬのではないかと、心配するほどだ。

このCD1枚の中でも、「別れた彼氏も今どこかで花火を見ているだろう」とか、「男1人女2人の仲良し3人組のもう一人の女友達が自分より先に告白する勇気を持ってしまった」とか、「フラれた元彼からの夜中の電話の“なぜ俺と分かった?”という問いかけが、“あなたの声なら間違える筈もないじゃない……”と胸を打ち抜かれた気になる」とか、枚挙に暇がないが、いずれも愛多き女性の様々な日常を丁寧かつ大胆に描き出している。

1988年に、ベーシストの中村正人と2人でスタートしたドリカムは、結成30年を迎えた。実は、このように、男女の愛情の機微を丹念に描き出して、長い間ファンを魅了してきたバンドは、ドリカムだけではない。

活動歴が長い順に紹介すれば、松任谷由実、サザン・オールスターズ、間にドリカムを挟んで、Mr. Childrenという系譜が辿れる。オフコース⇒小田和正もこの範疇に入る。