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夢解き

海人の視線を追って後ろをそっと振り向くと、ニホの姿が見えた。今私達がいるのは、私とニホが通う大学よりも、海人と神﨑が通うW大に近いコーヒーショップである。

「何で、こんな所に一人で来てるのかしら」

不思議に思った私は、件のコンパ以来見ていなかったその姿をずっと目で追った。ニホの方は、私に気づく様子はない。うつむき加減で店員の顔も見ずに、何か注文している。あまり顔色が良くない。買った珈琲を両手で抱えると、やはりうつむいたまま、店を出て行った。

「気になる?」

海人に言われて、我に返った。結局、ニホの姿が見えなくなるまでずっと見つめ続けていたのだ。

「えっ、あっ……ううんあれ以来、全然姿を見なかったから。あの真面目な子が講義にも出ないで、こんな学校から離れたところにいるものだから、ちょっと吃驚して」

「元気がなさそうだったね。相当ショックだったのかな」

「そうね……」

ニホとは高校から一緒だが、あんなに元気のない彼女を見るのは初めてだった。私の知っているニホは、いつもにこやかだ。陰口を叩かれても、私が冷たい態度をとっても、落ち込んだり、気にしたりする様子を見せない。それが今日は、知っている人間が見ていないと思っているせいもあるだろうが、露骨に傷ついた顔を晒している。