7-いいゲーム
このゲームは、まだ十分に研究されていません。
相手のためを思って行動し、それによって自身の自尊的感情も充足させるといった場面が当てはまります。
専門書では、『優雅で洗練された男女の関係、多くの人に役立つ気取らない物識しりなどに見られます』(杉田峰康他『ゲーム分析 Transactioal Analysis SERIES 4』)という説明をしています。
さて、バーン以後、ゲーム分析には、さまざまな研究がなされ、現在に至っています。
また、バーンによるゲームの分類表は、『Games People Play』が出版された1964年当時のものであり、古典的とか古くさいと言われることもあります。
しかし、人間関係の基本的な要素が含まれており、ゲーム分析を理解する上で非常に重要なものであることは間違いありません。
ただ、ゲーム分析を行うに当たっては、注意すべき点がいくつかあります。
まず、アメリカではゲームの名前は、バーンが記した英語名で統一されているのですが、日本では統一されておらず、研究者や心理臨床家によって、さまざまなゲーム名が用いられています。
次に、バーンの表は、それぞれのゲームが行われやすい7つの場面に分けて分類されています。
これは、あくまで、そのゲームが行われやすい場面を表しているだけだと理解してください。
例えば、先ほど例に挙げました「義足」というゲームは、バーンの表では「診察室のゲーム」に区分されています。
これは、このゲームが医師と患者のあいだで行われやすいとバーンが考えた結果であり、診察室のなかでのみ行われるわけではなく、先ほどの例のように職場や日常生活のなかでも非常によく見られるゲームなのです。
このため、バーンの分類のなかにある区分は、あくまで参考としてください。
また、『Games People Play』が出版された1964年から時代は大きく変わっており、現在ではバーンの表に記されたゲーム以外にも、さまざまなゲームが考えられます。
このため、この本では、バーンの表にこだわらず、研究者が発見したゲームや、私自身が自分の経験から新たに発見したゲームなども用いて、人間関係を説明することにしました。
従って、本章以降には、バーンの表にないゲームが出てきますが、これは、そのような理由によるものです。
以上、ゲーム分析とその基盤になる交流分析について、簡単にご紹介してきました。
さて、ここで、この章のタイトルである「なぜゲーム分析で、職場の人間関係の罠から逃れることができるのか?」という問いに対する答えを次にまとめておきましょう。
「ゲーム」とは「裏に『罠』や『インチキ』といった否定的な面を内蔵した、人間関係の駆け引き」、つまり「人間関係において、相手にストレスを与える目的で仕掛けられる罠」を言います。
そして、「ゲーム分析」とは、「どのような罠が仕掛けられているのかを解析し、人間関係のストレスを明らかにすること」なのです。
このため、「ゲーム分析」によって「ゲーム」を解析することで、あなたのストレスが、どのような「職場の人間関係の罠」によって発生しているのかを知ることができるのです。
すなわち、「ゲーム分析」によって、あなたは自分に仕掛けられている人間関係の罠の本質を知ることができます。
そして、それによって適切な対応策を講じることができるのです。