学生篇
【イジメと登校拒否】
・引っ越し
我が家はマンションを買い、横浜市西区から旭区に引っ越すことになった。晴天の霹靂。そして、これが引き金となり僕のだめな部分のイヤイヤが始まった。
「誰も知らない街の中学校に上がるのなんて嫌だ! どうか同じ小学校の卒業生の殆どが通う中学に行かせて」と駄々をこねたが、学区外入学は認められてはおらず、だめなものはだめだった。
ただ、学区外の登校がもし可能ならば車で通学させるしかないので、母は教習所に通った。母親にここまでさせて、なんて親不孝なんだろうと思うが、当時僕のなかでは至極真剣かつ重要な問題だったのだ。
そんなゴタゴタもあったが引っ越しは滞りなく進められた。3月末だった。その前の、小学校の卒業式は出たくもなかったので出なかった。別に後悔はしなかったが、卒業式が終了した当日に同級生が部屋に卒業証書を持ってきてくれて、「筒のなかの手紙は後で読んでね」と女子から言われた。
最初意味がわからなかったけれど、後で読むと、誰が書いたかわからないが、“私はあんたのことが……”と薄っすらと書いてあったので、よくわからないモヤモヤした気持ちになった。この前、実家で小学校の卒業証書の筒を見せてもらい、久々にあの手紙を見た。
30数年以上前のものなのに、手紙はあいかわらずあって、“私はあんたのことが……”と薄っすら見える。全部は読み取れず、やっぱり何を伝えたかったのかはわからないけれど、これを見るたび胸がキュンとなる。話がずれてしまったが、引っ越しは終わった。