マレーシアのマハティール前首相は、
「日本を凡庸な国に変えたのは人口減少が主因である。一国の人口が減少し、高齢化することは、その国が衰退へと向かっていることを意味する。高齢者は家でテレビを見ていれば快適という場合が多く、高級レストランに行くことも少なければ、車を買い替えたり、スーツやゴルフクラブを買ったりすることもない。高齢者は必要なものが既に揃っているから消費が極端に減るのだ。
この点、私は日本の未来に強い危機感を感じる。今後、日本国内の消費規模は縮小の一途を辿るだろう。近年かくも多くの経済刺激策が打ち出されたにも関わらず、所期の目標に何一つ達しないのもその前兆であろう。最終的にイノベーション力と特許件数を決めるのは高齢者ではなく若者だ。どうやって解決するのだろう。
為政者の口から出る答えは、その多くが産休と出産助成金の確保だった。私は失望した。フランスやスイスのような出産支援策の成果があがった国であっても、人口減少のプロセスは緩やかで、莫大な資金が投じられている。
一方で日本人は移民排斥で有名な民族だ。日本人の純血を維持することは、日本人にとって当たり前で、根深い考えのようだ。外国の移民受け入れにより出生率の問題を解決しようと、公の場で議論しようとする人がいない。
日本の一般人にせよ、政界のエリートにとっても、これは最初から選択肢でさえないのだ。他方、日本以外の先進国は、
米国:320百万人(2013年)→462百万人(2100年)
フランス:64百万人→79百万人
イギリス:63百万人→77百万人
と予想されている。
米国の人口は急増が、またヨーロッパ諸国には、なだらかな増加が予想される。この数字は移民政策と深く関係している。先進国主要国で人口減少問題が本当に深刻なのは移民政策を拒絶している日本だけの可能性が高い。
日本は今、世界でなんら変哲もない平凡な国へと向かっている。最終的には人口問題が暗い影を落とし、そこから逃げ出せなくなるだろう。もし私が日本の若者なら、他の国への移民を考える」
と結んでいる。