人妻のホンネ

※ 投稿者  高収入の夫をゲットしたキャリアウーマンに憧れる新入社員 二二歳

閉店間際の社員食堂 西日の差し込む窓際のテーブルに腰掛けて

先輩のヤスコとコーヒーを一杯

うちの部署では “局様”的なポジションの一角を占めているヤスコ

入社十七年目 結婚九年目 七歳と五歳になる息子が二人

人妻のホンネ インタビューしちゃいました

「あのー 前々から一度 既婚の人に聞いてみたかったんですけど

結婚って 自分にとって運命だと思える人とするのか

それとも たまたま 二十代の半ばから後半に 好きになった人とするのか

どっちなんですか?」

「そんなの 決まっているじゃない」

(間髪入れず 即答するヤスコ)

「後者の方よ

アタシが今まで好きになったオトコはたくさんいるけど

実はね 一番愛したオトコは 今のダンナじゃないのよね

十九の頃 付き合っていたカレシ

あいつほど好きな人に出会うことは もうないわね

ま、だからといって 今のダンナに文句があるわけじゃないけど」

「……」(上手く返答できなかった私)

「一生の中で 好きな人は何人かできるけど

その中で一番のボルテージで想った人と結ばれるなんて

ほんの一握りの人だと思うの

二十代後半にもなってくるとさ 親からのプレッシャーや世間体もあるし

同年代の友人が次々とくっついていって 

気が付いたら お母さんになっちゃっていて

それなりに幸せに見えたりするし

老後のこととかが ふと頭をよぎるようになったりするのよ

三十路を超えたオンナの会話なんて

子育ての大変さとやりがいを 自慢し合うだけだもん

だから 三十歳を目前にして 今のダンナで妥協したの

一番ではなかったけど(三番目くらいかな)

この先 これ以上の男性と出会える保証もないしね」

「……」(再び上手く返答できなかった私)