「これからの中学校生活の3年間はあっという間よ。テスト、部活、テスト、部活、を繰り返して、気付けばすぐに高校受験じゃ。先生もテスト問題を作るんが大変なんよ」
「ええええっ! 楽しみにしとった中学生生活って、そんなもんなの!?」
「悔いのないように送らんといけんのぉ」
「じゃあ、3年間で彼女を作るとか!」
クラスがどっと沸いたところで、原先生が黒板に書き始めた。
“結果目標”
“行動目標”
「ええか、目標には結果目標と行動目標の2つがある。結果目標というのは、例えばマラソン大会で1位になる、というような結果を重視した目標のことを言うんよ。
この場合、足の速いライバルがマラソン大会の日にみんな欠席して、たまたま1位になったとしても、目標を達成したことになるね。
つまり、この結果目標には自分以外の要素も影響してくる可能性がある。さっきの、彼女を作る、というのも結果目標だけど、気に入った子がお前らのことを好きになってくれんかったら、達成不可能だろ」
「マジか! 絶望的じゃんか!」
「待て待てあきらめるな。一方で、行動目標というのは、特定の結果を導くために必要な具体的行動や内容を重視した目標のことで、例えば、毎日5km走る、というようなことを指すんよ。
結果を意識しながら、自分の力で出来る範囲の行動を目標として実行していくことで、おのずと結果がついてくる、っていう仕組みさ。
彼女を作りたければ、まずは内面を磨くという訳さ。具体的には、女の子に親切にする、とかかな」
「今日から実行しまーす!」
「楽しみにしとるぞ。ところで、クラスの行動目標だが、まずは1年後にこのクラスがどういうクラスになっていたらいいか、を考えないといけない。
先生は、1年後の結果目標として、クラスみんなと仲良くなってみんなでこたつに入って鍋でもつつきたい、って思っとるよ」
「さんせーい!」
「そのために、何をやっていくか。例えば、“相手を思いやって行動する”というのはどうかな?お互いに助け合う、困っている人のために何かしてあげる、相手の嫌がることはしない、ということかな」
「なかなか、いいね」
由大のクラスの行動目標は、“相手を思いやって行動する”に決まった。
由大は、これから待ち受ける1年がとっても楽しみになった。