企業理念
企業理念とは、企業が経営活動を通じて実現しようとして抱いている信念、信条、理想、哲学などの価値をいう。経営理念、経営信条、経営哲学などとほぼ同義とみてよい。
それは企業の個々の活動方針のもととなる基本的な考え方であり、創業者や経営者によって示されたものが多い。
また、企業内部に向けては社員の行動指針となり、企業の一員としての自尊心を高めようとするものであり、さらには社会に対して企業のイメージをアピールするねらいもある。
企業理念は、経営目的(Management Objective)であるとともに経営目標(Management Goal)も構成する。経営目的とは、経営活動の目指す望ましい到達状態であるが、企業理念はその価値的表現であり、経営目標はその具体的な数値表現(売上高、利益、利益率など)である。
企業理念は多くの場合、社是、社訓、綱領、指針のような形で客観的に表現されている。企業行動への浸透をより深めるためには、このように成文化することはきわめて効果がある。
日本の企業では、これまで創業者の経営理念をそのまま継承し、国家社会のなかに企業を位置づけ、企業の社会的機能を崇高な使命として説き、業務の遂行にあたっては協力、献身、勤勉、礼節などを呼びかけるものが非常に多かった。
このような傾向は、明治以来の富国強兵、産業立国を柱にした国策という環境要因と、さらにそれ以前からあった儒教的な教えを説いた経世済民(世を治め、人々を苦しみから救うこと)の思想に深く影響されたものと考えられる。そこでは、集団主義的精神と儒教的精神とがその根幹になっていた。