担任の経験を重ね、自分自身も親としてPTA活動に参加したり、塾でお母さん方とお話をしたりするうちに、私はあることに気がつきました。子どもを公立学校に通わせているご家庭によくある考え方と、私立・国立学校に通わせているご家庭の考え方に、対照的な傾向があることです。

あくまでも傾向なので、全員がそうだというわけではありませんが、有意な差があるところを書き出してみましょう。前者が公立、後者が私立・国立校のご家庭によくある考え方です。

「勉強はイヤなもの。でも、しなければならない系」と「勉強は面白いからする系」

「学校は行かなければならないところ系」と「学校は好きで行くところ、イヤなら行かなくていい系」

「みんなといっしょ系」と「ちがいを大事に系」

「今を大事に系」と「将来のために系」

「勉強は高卒に必要である系」と「勉強はそもそも学問である系」

「中学校は部活と友達づくり系」と「学校は勉強するところ系」

「部活は勝利を目指す系」と「部活は自分が楽しむ系」

どうでしょう。公立派と私立派とに分けると、こういったちがいが見出せそうではありませんか?

どちらの考え方が優れているということではなく、どちらの価値観も大事なのですが、対照的な面があるということです。

ちなみに、私立の授業料が公立より高いことを踏まえ、経済的な面から、「貧しい系」と「豊か系」という見方をすることも世間ではよくあります。しかし、私の身の回りを見ると、裕福でも公立に通わせる家庭もあれば、余裕がなくてもやりくりして私立に通わせる家庭もあります。経済的な「格差」が決定的なちがいという印象はありません。

それよりも、それぞれの家庭が、教育のどういった側面を重視して、お金をかけるかという「家庭内文化」のちがい、経済的な事情よりも家庭の教育観が重要な役割を果たしているように思います。