いけばな×百段階段
毎秋恒例の目黒雅叙園での「いけばな×百段階段」
総数四十五の生け花の流派が集うという美の競演に、今年も行って来ました。お華の家元の友人に招待して頂けるので、このところ毎年この催しに行くのを楽しみにしているのです。
日本画に囲まれた雅な昭和の空間の百段階段に、秋の生花がこれでもかと生けてあります。
絵の展覧会と違ってお花の展覧会は、なんといっても季節毎の花の香りに包まれるのが嬉しい。
カサブランカ、蘭、菊などのゴージャスな香りに包まれながら、秋満載の花の祭典を堪能しました(図1)。
昭和初期に建てられた雅叙園は、国内最初の結婚式場兼料亭であり、その装飾の豪華さから“昭和の竜宮城”とも呼ばれたのだそうです。時の名だたる建築家(棟梁)や芸術家を全国から集めて、「もっと庶民にも贅を」という経営者の趣向で豪勢な装飾をてんこ盛りにしたのだとか。
華やかな天井画や螺鈿細工や浮き彫り彫刻など、ここの美というのが非常に分かりやすいのは、そういう訳なのか。
「侘び寂び」とは対極の、きらびやかな装飾なのです。
美人画が飾られた入口のトイレの中には、小川が流れ、朱塗りの太鼓橋がかかっています。
ここのところ、私は密かに着物の着付けを練習していたのでした。
若い頃に作って箪笥に眠らせたままの沢山の着物に、なんとか日の目を見せてやりたいという思いから。
今はYouTubeに、着付けの仕方、帯の結び方など、丁寧な動画が山ほど出ているのです。
それを見て練習してどうやら着られるようになったのはいいが、家の中で着ただけで、まだそれで外出したことはない。
雅叙園のいけばな展なんて、着物を着て行くのにぴったりではありませんか。雅叙園に行き着くまでに分解してしまったらどうしよう? と不安でしたが、なんとか無事に帰って来られました。
グズグズの着付けですが、自分着付け初の記念日です。
帯揚げと帯締めを結ぶのにまだ自信が持てないので、鶯色の小花模様の小紋に薄紫の半幅帯の文庫結び。
華やかな白大島を着た着物の先輩の友人と、雅叙園の庭で記念撮影。
雅叙園内の中華、旬遊紀でゆっくりランチして、お喋りしながら着付けを直して貰いました(図2)。