法定後見事例
■精神疾患の息子(高齢の両親と兄弟の不安対応) 井上英一(認定NPO法人市民後見センターさいたま副理事長)
経緯
yhさんとの出会いは、さいたま市内の精神障がい者家族会との出会いでした。当NPOが設立されてまだ間もないころ、家族会に当NPOの紹介に行き、親亡き後の後見人の必要性を一生懸命説明をいたしました。
それが縁で何回か家族会の定例会で講演を行い、成年後見制度入門から始まり、徐々に事例紹介へとつながり今も継続して相談を受けるなど重要な社会資源の一つとしてつながっています。その中でたまたま一人の母親がお子さんの将来について相談に来られました。
それがきっかけで何回かお話をさせていただいているうちに父親と2人で親亡き後のこと、市民後見人のことを詳しくお話をする機会がありました。今(2020年)から7年前の2013年のことでした。
その後その話は途絶えておりましたが2018年春に、再びご両親とお会いすることになりました。父親はかなり体力が衰え歩くのが大変そうにみえました。
2013年に専門職と市民後見を比較して精神障がい者の後見には身上保護が大事であることや、30年先まで継続して支援が必要であることから法人の方がよいと理解されたとのことでした。
さらに法人の担当の方がとても誠実で信頼できそうだったことが決め手であったと言われ、これでお子さんを末永く支援できるなと思いました。父親の体力の衰えにより残された時間がなくなってきたという焦りが決断を早めたと思います。
その後、当事者とも面会したところ安心した様子で後見人がつくことに賛成の意思を示してくれました。妹さんと弟さんがいますが、妹さんは働きながらご両親の介護等の面倒を見るため当事者まで支援することは難しく、弟さんは一家を構えて交流はなく、後見人がつくということで全員が安心した様子でした。
その後、金銭面や支援の輪などを検討した結果2018年11月正式に家庭裁判所に申し立てを行い、2019年1月に補助人の審判が下され登記も完了いたしました。ここから正式に補助人のスタートです。