後見業務の内容

一年目に行ったのは新たに財産目録を作成し、収入と支出を明確化しました。収入は精神障害者年金のみでしたが、自宅に住んでいることから生活費は多くかからず、毎月5万円の生活費を渡すことができました。

本人はこの中から毎月1万円を家に入れていました。月2回定期訪問し本人と談笑し、健康状況、心の状態を把握し、相談などを受けて和やかな雰囲気で過ごしました。あわせてご両親の不安にも耳を傾けることも多くありました。

2年目になって父親からはあとどのくらい持つか不安であるということが、訪問するたびに話題の中心になってきました。自分が死んだら妹さんが当事者の世話をするのは無理だし、させたくない(実は母親に認知症の影が忍び寄っており母親が当事者を見ることは不可能)という思いから、家を売却してその金額を母親や子供に相続させるので当事者の住まいを今から探す必要があるとの考えを繰り返し話すようになりました。

そこで、本人の特性(一人でアパート暮らしは無理、就労に向ける状態ではない)を考慮して、24時間職員常駐型かつ訓練を伴わない永住型のグループホームを探すことになりました。

2019年8月より障害者地域生活支援センターの計画員とともに具体的な案件を探し、暑くなくなった10月より何件か見学に行きましたが、本人が気に入ったにもかかわらず、すでに満室でした。

2020年4月に新たに物件が見つかりすぐに見学したところ、気に入ったので即座に入居を決めました。そのあとすぐに満室になったので薄氷を踏む思いでした。6月初旬には無事引っ越しを済ませ、新しい生活が始まりました。家具を購入しなかなか良い部屋となり、新たに母親との連絡手段として携帯電話も購入しました。

両親ともに、そして妹さんの喜びようや安心感はいかばかりかと思われます。何せ今までずっと引きこもり状態で家の一室を占拠してきたわけですから。父親はこれで安心して死ねる心境になったと思います。

並行して住居の変更に伴い病院の変更が必要でした。新しい病院に付き添い医師の診察にも同席をし、挨拶もしました。あわせてデイケアの手続きも行い、当面は診察日に合わせてデイケアをセットすることにしています。当面の目標は一人で通院し、一人でバスで帰れるようになること。

デイケアを少しずつ多くすることである。毎日少しずつ散歩をしているのでいずれは可能になるかもしれない。そのほか、精神障害者保健福祉手帳更新、自立支援受給者証更新、サービス受給者証更新、世帯分離手続き、年金や健康保険など郵便物のNPOへの送付先変更手続きなどを行った。定期的にホームに訪問しており、目標に向けて支援を行ってゆく予定です。

結果と今後

とにかくご家族の安心と喜びを目の当たりにして受任してよかったと同時に、今後の責任を感じます。

支援体制も3人チームになり、今後30年間の後見継続をNPOとして行ってゆきたい。グループホームが乱立しているので、怪しいところは避けるようよく検討する必要がある。

地域生活支援センターや病院デイケア及びグループホーム生活支援、行政とも連携し、当NPOが地域ネットワークの核になっていきたいと考えます。