バーレスク、ヴォードヴィル、ジーグフェルド・フォリーズの舞台が矢継ぎ早に紹介される。バーレスクでは女の子を引き立てる道化役。それがヴォードヴィルでは彼が主役となり、コーラスの女の子を引き連れて踊る。
最後のジーグフェルド・フォリーズではジーグフェルド・ガールズに囲まれ燕尾服にトップハットの出で立ちで、シガレット片手に洒落た身振りで踊る贅沢さ。
それぞれの劇場の雰囲気、出し物の特徴をとらえながら、一段階ずつランクが上がりジーンが出世していく様が的確に描かれていく。パーティーで再会した情婦に目を奪われたジーンは白日夢を見る。
淡い紫色の果てしなく続くシュールな空間。十五mの長さのベールをまとったシャリースが、ジーンとバレエをロマンティックに踊る。ヘイニーとコインが航空機用のエンジンまで使って風を起こし、ベールの動きを巧みにコントロールした。
水平に、上方へとたなびくベールを背にしたシャリースがジーンと一体となって生み出すダンスは、ベールももう一人のダンサーであるかのように絡み合い、見事なアンサンブルになっている。
実写でこのようなシーンを作れるとは、現在の目から見ても信じられないことである。夢から覚めたジーンは情婦に近づくが、相手にもされず寂しくパーティーを後にする。再びプロローグと同じタイムズスクエア。
きらびやかなネオンサインの下、消沈したジーンが現れると、夢を抱いて都会へやって来た若者が明るくタップを踏む。気を取り直したジーンが総勢七十人余りのダンサーと元気に踊り、最後ジーンの顔が大写しになるレトロな演出で終わる。