門をくぐる
著者:神乃木 俊
あらすじ:男が目覚めたのは、水面にたゆたう小舟のなか。古い装束をまとった船頭と二人きりの妖しい道行き。その過程で徐々に明かされていく衝撃の事実。 人生を振り返るなかで、人はなにを取り戻したいと思うのか。なにが正しかったと言えるのか。いま、ふたたびまみえる「高瀬舟」の世界。
GLO連載 第1回を読む
初めは夢だと思った。 目に見えるすべてが暗闇に覆われていた。天井や壁は見当たらず、銀色の月も星の瞬きもない。どこまでも落ちていきそうな漆黒が世界を支配していた。
ここはいったい、どこなのだろう。
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