浜椿の咲く町

 

著者:行久 彬

あらすじ:心に傷を負い東京からやって来た奈美、男に騙され実家に戻った沙耶、2人の子どもを育てるシングルマザーの康代。つましくも明るく暮らす人々の交流と人生の葛藤を描いた物語。

 




 

GLO連載 第1回を読む

 

出口美紀の記憶にある母は、笑顔の少ない人だった。まるで苦労を自ら拾って集めたかのようにいろいろな苦労を抱え眉間に寄せた皺が緩むことは希だった。

「ああ、何で自分にはこうも厄介事が集まってくるんやろ」

そんな母の独り言を美紀はよく耳にした。

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