一体どんなパーティなのだろう。Sのお父さんが私たちを招待してくれるというのだ。気持ちはうれしい。断る理由はない。期待する気持ちは大きいが、気負って参加するのは、正直抵抗があり、不安でもある。

レゲエ音楽が流れるハウス・パーティならば、ジーンズにTシャツ一枚で、もっと気楽にいきたいものだ。とは言え、主催者がお父さんの知り合いとなれば、やはり状況は違ってくるのか。招待されている側としては、それなりに正装していくのがマナーなのかもしれない。

それにしても、パーティに若者はいるのだろうか。年配の男女が一張羅に身を包み、昔の思い出に浸りながら、思い思いに身体を揺らしているだけではないのだろうか。パーティの様子をあれこれと想像しながら、私は出かける準備を始めた。

時間があまりない。私は急いでシャワーを浴びる。服を着替え、化粧に取りかかった。パーティ用の小さめのバッグにハンカチとファンデーション、口紅、ドル札とコインを数枚入れる。最後に髪の毛を乾かし、ヘアワックスで整える。爪にマニキュアを塗ったはいいが、もうすでに12時半近い。マニキュアが乾き切る前にここを出なければ間に合わない。

電話が鳴った。

「Yumi、準備できたか?」

「う、うん。いま、出ようと思ってるところ」

「もう着いたから早く来いよ」

「わかった」

電話を切ると、すぐにトイレを済ませ、私は鍵を握りしめた。