俳句・短歌 句集 2021.05.12 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第10回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 さまざまな煙を上げて十二月 風花や朝市果てる頃の浜 半ドンの一斉下校雪催ひ
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『ツワブキの咲く場所』 【第21回】 雨宮 福一 子どもの私が、教祖と呼ばれていた壇上の老人に手を振る。思い出すのは、大人達の狂った言動と、視野が血で赤くなるほどの暴力。 【前回の記事を読む】車に乗せられ、降ろされたのは人が集う場所。建物へ入ると、十字架が最初に目に入った。「……ここが?」衝撃を受けた。私がそれまで持っていた宗教のイメージと、それは明らかに違っていたから。次々に来場する人の流れに促されるようにして、私は永ちゃんと一緒にベンチへ腰掛ける。ざわめきも人という人の気配も、いつもの何倍にも感じられる。しかしなぜだろうか。私はそのことをけっして不快には思わな…