役割、仕事、趣味の創出

外山先生の書かれた『自宅でない在宅』では、『住み替えで環境が大きく変わることでの最大の落差を「役割の喪失」と著されています』(1)。住み替えた途端にスタッフに全てを委ねてしまい、何の役割も無くなった生活ってどうでしょうか?

人はいつまで経っても何か役に立っている、役割があることで気持ちに張りが出て、元気を保てるのじゃないでしょうか。そういう面で退職後も適度に仕事を続けられるというのは、健康を保つためにいいことです。

終の住処でやりがい、生きがいを創出されることはとても重要です。「美しが丘」の庭には入居者さんの出番がたくさんあります。植栽、水やり、雑草処理、果実摘みなどをお手伝いしてくれます。お庭の手入れをしてくださっている宮本さんは、国際大学の城座先生、平林先生からご紹介いただきました。実は農業高校の校長先生を退職されたスペシャリストです。

そして、退職後はボランティアで趣味と実益を兼ねて園芸療法を行い、地域の高齢者さんたちの生きがい作りを手伝われて来ました。宮本先生と会話を楽しみながらお庭のお手伝いをしてくださる入居者さんは笑顔で、こう話してくれます、「お庭のおじさんとお話しして、お庭の手入れをしていると、とっても楽しいのよね」と。