出荷場倉庫にある段ボールの貼られたシールを見ると、本日発送のもの、明日以降のもの、既に発送予定日が過ぎているものなどが混在していた。
約2時間ほどで3工場を一回りした3人は、事務所に戻ってまとめてみることとした。
3人は会議室に入り席に着いたが皆押し黙ったままの状態が続いた。3人とも工場を診断する〝目〟を持ち合わせていなかったため、自分以外の工場を見ても「こういうものか」という程度の感想しか得ることができなかったのである。
そんなとき、製造部長の山田が打合せに参加するために部屋に入ってきて席に着いた。
〈山田〉先ほど次回の打合せを3日後の9月14日と言ったが、今日のこの時間に変更する。普段は日々の生産のことに追われ、落ち着いて職場の状況を見ることがなかなかできないけど、今日は今までと違った見方ができたんじゃないかな。
そこで今日は特に自分の職場のことだけではなく他の職場についても遠慮なく意見を言ってほしい。多分自分の職場はいつもの通り問題なく順調に生産しているので、課題といっても見えにくいものだ。
だから他人の目から気が付いた点を遠慮なく出してほしい。まずは基盤の石川君のところからいこうか。