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ホースディアーだけのチケット
里奈は同じリサイクルショップに七、八回は行っている。
そのときに疑問に思ったことがある。リサイクルショップの駐車場とは別の場所に、買い取ったらしい品物が雨ざらしに置かれていた。それは、テーブルだったり椅子だったり、タンスだったりするが、使おうと思えば使えそうなものばかりだった。
それが、何故かこの前置いてあったものがなくなっており、代わりにテントやランプが置かれていたりした。売れないのでゴミにだされたのか誰かと交換したのか、それとも…?
里奈は早速家に帰って佑に話してみた。すると、
「里奈はしょうもないことを気にするよな、俺がリストラされたことは気づかなかったのに」
「そうよね、どうでもいいことよね」
しかし、次の日、またテントとランプがなくなっているのを見て、リサイクルショップの店員に聞いてみた。
「それは多分、店長が森林にいるホームレスに使って貰おうとしているんですよ」「えっ? ホームレスに?」
「そうです。持って行っている人は多分ホームレスの知りあいで、店長とその人は…ちょっとわかんないですけど、どうしてそれを?」
「いえ、気になっただけです」
里奈は家に帰って早速佑に話してみた。すると、
「バカバカしい。俺はそれどころじゃないんだよ。里奈は家壊して土地売って金入って楽できるからいいかもしれないけどな」