「何それ? 私だって午前はパート、午後は遺品整理をしながら家事だってちゃんとやっているのよ」
「じゃあ、その森林へ行ってそのホームレスにボランティアでもするか?」
「そんなこと言ってるわけじゃないわよ。ただ、仕事だけじゃなくて住むところもない人もいるって話」
「だとしても、俺たちにはどうすることも出来ないよ」
「そうね。もうこの話はやめましょう」
「…いや、気になるようだから、ちょっと見に行ってみるか?」
「はっ? リストラされてどうにかなっちゃったの?」
「かもな。ボランティアってのも、まんざら興味なくもないしな」
「よく言うわ。ボランティアする立場よりされる立場じゃないの?」
「はっ! そうだな。それもありがたいよ。まだ明るいから、今からならまだ間に合うかもしれないな」
二人はリサイクルショップへ行ってみた。そして駐車場に車を止めてテントとランプのあった場所をしばらく見ていた。
しかし、なかなか現れず帰ろうとした。
…とそのとき、青いジャンパーを着た男性が、辺りを見回し、里奈がリサイクルショップに持って行った皿やお盆を車に積んでいた。里奈と佑がその車を追いかけた。
その車は里奈たちに気づいたはずだがスピードを上げようともせず、森林のある場所に入って行った。炎が灯となり、髭モジャの薄汚いホームレスが数人見えた。家具やテント、里奈の持って行った食器で食事をしていた。