教育事業して、本業部下任せに

オーストラリアに来て気づいたことが多いが、その中で日本の親御さんにぜひ注意してもらいたいことがある。

二十〜三十代の独身女性が留学と称してこの国の英会話学校によく入学しに来るが、英会話の勉強に慣れてくるといつの間にか現地の男性と親しくなり、中には同棲をする者もいる。

向こうはパーティーが盛んで、同棲しているらしきカップルがいて、うっかり話し掛けると「オーストラリアにまで来て日本の男とは話したくない」とばかり睨みつけられることもしばしばあった。

親から仕送りをしてもらい、その金で遊学しているうちに堕落してしまうのだ。全員がそうではないが、親が知らないので気が緩むのであろう。

特に日本の女性はナイーブ(世間知らず)と思われて外国人に狙われやすい。

子どもを留学させるには現地の知り合いか保証人に頼まないと、事件に巻き込まれたりして危険である。本当の意味の留学とは、TOEFLまたはTOEICに合格して外国の大学に入学することである。

それであれば遊んでいるわけにいかないし、学ぶ環境が良いので、だんだん人の見分けもできるようになり、国際感覚も多少身に付くようになる。

余談だが、オーストラリアやヨーロッパでは、私に限らず日本の男性は目立たない。それはポジティブな行動に弱く英語が下手だからで、中国人や韓国人には明らかに負けていた。

さて、話を戻すと、上野食品の主要な仕事は、すべてナンバー2のM部長を代行社長にして任せ、一切口を出さなかった。

だが、一サラリーマンがいきなりオーナー社長の代行をするには無理があった。本人は一生懸命やってくれていたが、同期入社の他の部長が代行社長の言うことを聞かなかった。

事あるごとにクレームをつけ、部下を自分の方に引き寄せて派閥を作った。会社が二分して騒がしくなった。私はそのことを知らずに一切口を出さず、経営は任せっきりにした。