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バブル経済の波に乗り、不動産購入で借金地獄に突入。

上野食品と上野ビルディングは大手銀行・二行と取引があったが、両者とも無借金で内部留保金が多かったので両支店長も親しく付き合ってくれた。

二年後、上野ビルディングは購入した土地に五階建てのビルを建設した。一階、二階を上野食品に賃貸し三階以上は住宅にして賃貸することにした。

バブルの最中なので建築資材が値上がりして予算が大幅にオーバーして土地を含め八億円も掛かってしまった。それでも銀行はいくらでも貸してくれた。

戸越の本社工場、新しく購入した千鳥町の土地、そしてすでに世田谷の等々力に四十坪の社宅を上野ビルディングが所有していた。当時は土地などの固定資産を高く評価していたのである。

その頃、運良く等々力の社宅の隣地が取り壊され平地になった。チャンス到来である。「隣地は多少高くても買え」と聞いていたので、そこを上野ビルディングが購入して敷地百坪に1K×十四戸のアパート兼社宅を建てた。

約二億円掛かった。バブルの最中、銀行の支店長だけでなく皆が浮かれていた。地価は下がることなく値上がりし続けるという土地神話が世の中にまかり通っていた。バブルが崩壊するなど誰も思っていなかった。

ついに借金が九億円になったが、心配はしていなかった。

「利息だけ支払ってくれれば問題はない」と銀行の支店長も言っていたし、私自身、好景気に酔いしれていた。

粗末なソフトをリース契約訴訟問題にまで発展。

私は一度目標を決めると猪突猛進するタイプなので、教育ビデオの販売に特に力を入れた。

バブル期とあって上場企業を中心に各企業の経営は好調で、教育ビデオは社員教育のツールとして数多くの会社に採用された。特に、大学時代の友人のコネを使って日興証券の七十周年記念ビデオをはじめ、第一勧業銀行やコカ・コーラのマニュアルのビデオ制作など受注に成功した。