インドで数社の財務取締役を務めた著者が、人口増加とともに急激な成長を遂げるインドについて徹底解説!多くの成功例、トラブルから学んだ企業運営の知恵とコツをお届けします。

経理担当者(金庫番)の育成

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経理の仕事は、会計基準・税法でがんじがらめに縛られており、個人が裁量をきかせる分野はあまりありません。いうならば、会計基準・税法・会社法の要請、および使用する会計ソフトの制約から、いかなる社内規定を作り上げるかに尽きるのです。その規定どおり措置できれば正常、措置できない事態となれば、部門長と取締役の出番です。

ちなみに、一般的にインドの経理が担当する仕事を並べてみると、原価計算・日々の伝票起票・棚卸・決算・財務・資金繰り・資金調達・保険契約・税務・納税・税務調査対応・社会保険・給与計算と支払い、などとなります。給与や社会保障といった、日本では人事部主管の事項についても、金勘定は経理の仕事という認識から、経理が担当します。

しかし、給与と社会保障の法的根拠は労働法関連なので、経理には計算は任せるが、遵法は人事が責任をとるという、明確な決め事がないと、異常措置対応ができません。

財務取締役が特に注意すべきところは、やはり決算です。決算で、会計税務は経理の部門長に任せられますが、会社法の順法、労働法関係の注記の記載によっては、決算の不成立を招いたり、他の取締役の善管注意義務を阻害しかねません。予期しない異常発生については、財務取締役が速やかに対処する手はずを経理部門との約束事にしておくべきです。