小説 『夫 失格[注目連載ピックアップ]』 【第20回】 時亘 一肇 夫が2階に上がるたびに走る緊張感。少しずつ、少しずつ、荷物を運び出し、夫から離れる準備を進める…絶対に悟られてはいけない 【前回記事を読む】昼夜問わず怒鳴り続ける夫の声は、ご近所中に広まっていた。遂に家を離れる決心をし、行動することに…女性センターに電話すると、提携する弁護士さんを紹介してくれた。そして後日、その弁護士さんに会いに行った際、「離婚される気はありますか?」と聞かれたので「はい」と答えると、「では家を出ないといけません」と。離婚調停をするにあたり、同じ屋根の下で当事者同士が一緒に生活しているのはおかしい…
小説 『居場所がない団塊世代のあなた方に』 【第3回】 阿弥 阿礼 幸三少年の通う小学校はこぢんまりとした平家建ての木造校舎で建てられてから60年以上経つ。そのため来年3月には…… 【前回の記事を読む】現代の日本の礎を築き、その繁栄の基礎を築いたのは我々団塊世代であった。だからこそ日本の将来に貢献する責任と義務がある 薄桃色の甘い香りのする小さな花が咲く杏畑を、勢いよく走り抜けた。小高い丘があり、そこは幸三が、この村で一番心が落ち着くお気に入りの場所だった。ここに来て、清々しい青草の匂いと発酵した甘い土の香りを素肌で感じ、はるか下の谷底を勢いよく流れる渓流が奏でる「ザアーバ…