インドという国の概況
国体の特徴
JETRO(日本貿易振興機構)の資料を参考にすると、インドの概況は次のとおりとなります。
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人口=12億1019万人(2011年センサス)※センサスは10年ごとに発表。
首都=デリー、人口1675万人(同)。
主要言語=ヒンディー語、英語、ウルドゥー語、ベンガル語。
宗教=ヒンドゥ教(79・8%)、イスラム教(14・2%)、キリスト教(2・3%)、シーク教徒(1・7%)、仏教(0・7%)など。
名目GDP=145,660(10億ルピー、2011年基準)。
国体は連邦共和制の2院制を敷き、憲法は100ページを優に超えます。100条余りの日本国憲法とは異なり、膨大な量の事柄が書き込まれているのは、南北約3000㎞、東西約3000㎞の広大な土地に多言語・多宗教・多民族を擁した連邦共和制のため、どうしても制約事項が多くなるからです。
その憲法が基本とするところの精神は、宗教・民族・過去の身分・性差の「多様性の平等」、および「多様性の統一」(Unity in Diversity)にあります。
この多様性の平等と多様性の統一を念仏のように唱えれば、インドの諸法律の立法趣旨を理解するための手助けとなるはずです。
法制度の特徴
日本人経営者が理解しておくべき特質としては、インドが連邦共和制の民主主義国家であること、司法が三権の中でも飛びぬけて力を持っている点です。そのため、法律・規制に対するフォーマリティが厳格で、伝手やコネで脱法できる国ではないと理解すべきです。
インドは連邦共和制民主主義国家として旧英連邦の法体系の流れを汲み、法規制の網が緻密です。前述のとおり三権の中で司法が強く、それを示す事例としては、デリーのバス・リキシャのCNG化の決定、およびデリー外環状の建設納期について、行政に指示を出したことが挙げられます。
近隣国であるタイは、立憲君主制の国家で、法の網が比較的粗雑であり、役人の裁量で法が運用されることがあります。また中国は、人民共和制であり、実質、共産党の一党独裁をもって法も運用されます。
一方で、インドの国体と法体系さえ理解できれば、公共の福祉に利する事柄は、外国人でも言論の自由が保障されるので物申しやすい、という面があります。