日本ではトマトは生でサラダに使われることが多いですが、イタリアではたいてい加熱します。
「トマト買ってきて」
こう頼まれると、缶詰を買ってくるのです。日本のように八百屋に行ったりはしません。さんさんと降り注ぐ夏の光を浴びて完熟したトマトを、缶詰やソース、オイル漬けなどに加工して、おいしく食べるのがイタリア流です。
トマトのオイル漬けは、日本ではあまり見かけませんね。もぎたてのトマトをオイルに漬けたものですが、これがまた実においしいのです。ピザに入れると最高です。もちろん、私どものピザにはふんだんに使っています。
トマトは缶詰やソースにすると、うまみも栄養成分も凝縮されます。ご存知のとおりトマトはリコピンの宝庫で、ガンの予防効果があるという研究結果を、ハーバード大学の研究者がまとめています。リコピンという赤色色素が、酸化物ができるのを防いでいるとのこと。
つまり、抗酸化作用が強く、βカロテンの二倍といわれています。アンチエイジングにもおおいに役立つのです。
さらに、血液をサラサラに保つ効果もありますので、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病予防にも大きな力を発揮します。イタリア人のトマト使用量は日本人の比ではありません。イタリア人の健康に、トマトが大きく貢献しているのはまちがいないでしょう。