「邂逅」10歳から11歳:運命の出会い 3

横浜アイスアリーナで翼がまた楽しそうにジャンプをしている。

「翼、そろそろ行くわよ」と三枝子が声をかける。

「はーい」

そう答えると空いているスペースを見つけ、助走をつけ前向きから思い切り跳ぶ。 スタンドで翼を何気なく見ていた剛が「あっ」と大きな声を出した。 翼は高く跳んで2回転半回り綺麗に着氷する。このジャンプをストップモーションのように見入る剛。その綺麗で高いジャンプに思わず「凄い!」と声を出す。 剛の中で何かがはじけた。

剛は翼を目で追いかける。

翼はリンク出入口からリンクサイドに上がりスケート靴を脱ぎ出す。三枝子もやってくる。剛は走り出していた。

翼と三枝子の前に現れる剛。

「彼女のお母さんですか?」と翼の方を見る剛。