かといってお金を持つなと言っているわけではありません。お金には人を幸せにもするし、人を狂わしてもしまう魔物のようなものが潜んでいるような気がします。そこに一言で言えない規律や節度のような縛りのようなものが必要ではないかと思います。

先人の経済哲学を学んでおこう

そこで過去にさかのぼり先人の教えのようなものを探ってみましょう。

井原西鶴

江戸時代の浮世草子の作家であった井原西鶴は経済通としても知られています。彼の書いた『日本永代蔵』で金持ちが如何にして金持ちになったかを町人の生活視点で描いています。

内容はある貧乏な男が金持ちに「貧乏を治す薬はないのか?」と聞いたところ「長者丸」という50両貯まる薬を教えてくれました。

この良薬は飲み薬ではなく、西鶴が調合した5つの薬(戒め)だったのです。

朝起5両……(早起きで5両貯まります)
家職20両……(本業に一生懸命、精を出せば20両貯まります)
夜詰8両……(夜遅くまで詰めて仕事すれば8両貯まります)
始末10両……(収入に見合う質素な暮らしをしていれば10両貯まります)
達者7両……(健康でいたら7両貯まります)

この5つの「薬」を飲んでいれば商売繁盛して50両貯まりますよ、というお金の戒めの薬の話です。

さすが大阪の商家に生まれた西鶴ならではの「長者丸」という金持ち薬の話です。要は「ラクしてお金は貯まりませんよ!」という戒めの教えです。