-------宝物-------
帰り道、謝りたくて、校門近くで追いついた。
「なんか、ごめん。どうしても一緒に組みたかったから…」
クスクス笑ってる。
「ガッついちゃって、、」
「いいよ」
「?」
「やろう、一緒に」
「ホントに?」
とりあえず、必死さは伝わったのか。ヤッター!!
「でも、なんで私?」
「それはもう…、惚れたから。あっ、へんな意味じゃない、ドラム」
「椎名くんの方が上手いじゃん」
「そんなことない」
頭をブンブン振る。
「俺、ベース弾くから。臼井さんのドラムと一緒に演りたい」
「ウスイ、でいいよ。佐和でもいいし」
「ありがとう。俺も、シーナでもユウキでもなんでもいいよ」
こっちが勝手に盛上がってヤラかしたのに、イヤな顔ひとつせず、優しい。なんだろう、この安心感。
「フフ」
「何?」
何か言いかけたようだけど、そのまま黙ってしまった。
「なんでもない」
表情は笑いをこらえてる感じ…。なんか変? 俺。
いいや、深追いせんとこ。
駅まで徒歩でゆうに30分はある。せっかくだから色々聞こう。
「メガネ、部活で掛けないのは何で?」
「慣れない場所で、人の表情がくっきり見えると緊張するんだ」
「わかる。俺も人見知りだから」
「うそでしょ(笑)」
「ホントに。慣れるまで、今後絡んでいけるか色々ひとを観察する癖があって。なんかこう、通じるものがあるまで、自分はあんま出さない」
えっ?という表情でこっちを見る。
「フフ、出てたよ。絶対来て!とか」
「しまった(笑)。余裕なかったから…、俺」
どうもペースが狂う。